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父さんの一人旅

父さんの一人旅

ツーリングアルバム(紀伊半島編)

紀伊半島編の画像…04年4月25日~4月29日


  ザ、ザ、ザー。カン、カン、カン。
雨音が奏でるハーモニーで午前7時には目が覚めた。
天気予報では前日から雨が降るって言ってたのに
コッヘルやらマグカップを出しっぱなしにしたままだったので、
朝っぱらから”演奏会”が開演されたのだ。
 気分が思い切りブルーになった。
昨年は和歌山、徳島、高松を巡る1泊3日?の麺食いツアー、
一昨年は乗鞍高原、白川郷、郡上八幡を2泊3日で、
3年前は奥入瀬、八幡平、蔵王を3泊4日で旅したけど、
雨に降られたことなんて、ほとんど無かった。
雨の中をロングツーリングしたことはあるけど、やはり気が重い。
「小降りになってくれないかなぁ」と祈るような気持ちで
ダラダラと撤収作業をしたけど、
天気は回復の兆しが無いどころか雨脚は強まるばかり。
午前10時に覚悟を決めて、川湯温泉を出発した。
 まずは土砂降りの中を熊野本宮大社へ。
交通安全を祈願して、お守りを購入してから県道を使って
落差133メートルを誇る那智の滝を目指した。
これが試練の始まりだった。
国道で南下すればよかったんだけど、
行きと同じ道で新宮方面へ戻るのが嫌だったんだよね。
最初のうちは良かったんだけど、
道が細くなるにつれて不安は募るばかり。
落石アリ、プチ洪水アリでまともに走れやしない。
極めつけは土砂崩れだ。
 戻るに戻れない山の奥深くで、究極の選択を迫られた。
結論は「とりあえず行っとけ」。
結果は裏目に出て、土砂の堆積のど真ん中でタイヤが埋まった。
 どうしよう。冷静なつもりでいたが、気が動転していた。
アクセルを回せば後輪は空回り。両足も土砂に埋まっていた。
大きく深呼吸をしてから、
気を取り直して周囲を見渡すと小枝が数本落ちていた。
それを後輪にかませて、ゆっくりと再スタート。
神社巡りをしてきたご利益があったのか、
何とか土砂から抜け出した。
 ハーッ、ハーッ、ハーッ。
息が元に戻らない。
それまでに小川が濁流に豹変したサマを見てきただけに
”命拾い”をした気がした。
土砂の堆積は幅3メートルほどだったけど、
再びスゴいのが襲ってきても何の不思議も無かったわけで…。
震える手でタバコに火をつけて、5分ほどしゃがみこんで再出発した。
 雨は小降りになっていた。
那智の滝は近くまで行って見学したけど、
那智大社は遠めに見ただけで参拝は取り止めた。
体力も時間的余裕もなかったから。
本来の予定では昼過ぎまでに、太地町で鯨料理を堪能するはずだったけど、
那智の滝を出たのは午後3時。
明るいうちに宿泊予定地の和歌山県田辺市にたどり着きたかったので、
すべての予定をボツにした。
 鯨料理だけじゃなくて、白浜の温泉もだ。
雨がやんだと思ったら、今度は台風みたいな強風が襲ってきた。
宿にたどり着いてから見たテレビのニュースでは
和歌山市内の最大瞬間風速は36メートルだったとか。
まっすぐ走るのに苦労した。
 道に迷いながらも何とか午後6時過ぎに扇ヶ浜YHに到着。
風呂が既に沸いていたのはありがたかった。
汚れと”あぶら汗”をきれいサッパリ洗い流してから、近所の居酒屋に出撃。
メチャウマなイサキの刺身を堪能しながら、生中を3杯ほどゴクゴク。
3日ぶりのテレビのある生活にちょっとだけホッとしながら
オフタイマーをセットして午後11時前には寝た。
 予定は大幅に狂ってしまったけど、
もう1度来る口実はできたかな。
    本日の走行距離 200キロ


 ※4月27日の日記から


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